契約結婚って雇用なの?

今週のお題「好きな漫画」

 

 逃げるは恥だが役に立つ。一説(マイシスター)によれば、新垣結衣が可愛いだけのドラマなのだが、改めてドラマ化2周年を勝手に記念して再考する。

 

 みくりとひらまさの契約結婚に基づく雇用契約だ。

 

家事は雇用?請負契約?

ーみくりの実家の引っ越しが決まり、別れのあいさつを告げるシーン。ひらまさは餞別を受け取ろうとせず話始める。

H「座ってもらえますか。」

M「はい。」

H「今日の分のお給料です。」

M「ありがたく。」

H「試算してみたんです。」

H「家賃水道光熱費等を折半した場合の収支。食事を作ってもらった場合と外食との比較。毎週家事代行スタッフを頼んだ時との比較。そして、OC法に基づいた専業主婦の年間無償労働時間の2199時間になりますがそれを年収に換算すると」

M「!!!・・・304.1万円。」

H「それです。そこから時給を算出し1日7時間労働と考えた時の月給がこちら。そして生活費を差し引いた時の手取りがこちらで、健康保険や扶養手当を有効利用した場合の試算もしてみました。これは、事実婚の提案です。」

M「事実婚・・・。」

H「戸籍はそのまま。つまり籍は入れずに住民票だけを移すという方法です。もちろん諸条件を話し合う必要はありますが試算した結果、事実婚という形で森山さんをここに住まわせ、給与を支払い、主婦として雇用することは僕にとってであるとの結論に達しました。」

M「えっ。」

H「えっ。」

 

H「試算結果において、そもそも差し引くの生活費だけというのが間違いなのではないでしょうか?住み込みで、ほぼすべての部屋を共有しているのなら、家事の半分は自分のためですよね。子供はいないので。つまり前の試算額から、さらに給与の半額を差し引くということになります。もちろんみくりさんの分の食事を私の分とは別に作っていただくのであれば、その分は差し引きません。」

M「そうすると結局働きに出る必要が。でも仕事がありません。契約結婚には家事も生活費も完全折半しかないのでしょうか。」

H「いえ、厳密に考えると、家事の効用が1:1かどうかは変わる可能性があります。私は家事代行スタッフを頼むくらいですから、プロ水準での仕事をもとめています。しかしみくりさんはそうではなく、仮に一人暮らしであれば、汚部屋に住み、半額シール付きの弁当で済ますという方ならば、家事から得られる効用を例えば2:1とし、給与の差引額を3分の1とする考え方もできるように思います。まあ2倍は、家事の行き届いた家に住むことで得られる無数の効用を過小評価しているように思いますが。」

M「職責手当についてはどうでしょうか。掃除はともかく、食事について他人の分を作るということには、大きな責任が伴います。料理が趣味でも、一人暮らしで気軽に実験的なレシピも交えつつ作るのと、仕事として行うのでは違うと思います。効用というのは、実際問題として計測困難ですし、誰にとってもそんなに変わらないと思います。私は汚い四畳半でいいと強がりを言っても、きれいな家に住んだら気持ちいいものです。健康上の利益も等しく得ています。むしろ職責こそ、差し引き割合において強く意識されるべきです。」

H「職責ですか・・・。たしかに、実力の伴った人物の、責任をもって担当するという姿勢ほど得難いものは、どんな業界でもありませんね。W.バフェットもそんなことを言っていた気がします。」

M「なんというか、私はどちらかといえば被雇用者ではなく、発注先の個人事業主の森山家事代行サービスとしてサービスを提供しているつもりなんです。」

H「なるほど・・・。雇用契約という捉え方がそもそも誤り、ということでしょうか。」

 

これって不動産業とテナント?

M「そうです!そもそも雇用契約というのが間違いだったんです!私たちは対等な立場にあるはずです。私たちの関係は雇用主と労働者ではなく、ひらまさ不動産と森山家事代行サービスの共同事業と考えるべきだと思います。さらに同時に、それぞれの会社の顧客でもあります。」

H「なるほど。確かに、生活費を折半と言いつつ、実際には資本を提供する私に対して、みくりさんは利用料を払っていますし、そういう風に考えれば、みくりさんは顧客でもありますね。」

M「そうなんです。ですから私たちは二人とも顧客として、ひらまさ不動産に部屋の賃料(占有スペース相当の私室(Hのみ)+共有スペース+家具)と共益費(水道光熱費(家事と無関係な分))を支払いますし、森山家事代行サービスに家事代行代を支払います。」

H「事業主の立場で考えると、森山家事代行サービスはひらまさ不動産に賃料(占有台所と家電使用料)と共益費(家事に使う分)を支払い(家事代行代に原価参入)、ひらまさ不動産は、本物の大家さんへの賃料と公共料金、それに家具家電の減価償却費を支払うわけですね。」

M「はいそのとおりです。家事代行代は原価参入した賃料+共益費に人件費が加算された額から算出されます。」

H「それが先ほどOC法から算出した給料になるのですね。」

 

ー場面が変わり、みくりお茶を淹れる。ひらまさ餞別のお菓子を開封する。

H「結局、原作通り、CEOが二人登場しましたね。」

M「やりましょう、共同経営責任者!」

 

 オチをつけるなら、両社が合併した形態が、契約じゃない結婚ではないのだろうか(※)。そして二人とも持ち株比率の同じ株主であれば、常に対等だ。

 

 ※そもそも契約ではないという説もある。というか有力だ。