料理上手でなくても料理は楽しい
ベーグルが食べたい!そんな日もある。
だから私は焼いた。
今年の秋ごろ、試しにフープロでパン生地をこねたり、ハンバーグの種を作ったり、サブラージュしたりして、すごく楽なことに気づいた。そしてべたつく何かを捏ねるのが好きではないことに気づいた。
パン作りに情熱を燃やす人からすれば、それは制作の醍醐味を捨てるようなものかもしれない。パン生地は生きているらしいし。私としては上等なパン屋さんのパンほどではなくても、スーパーのパンより美味しいものが簡単に作れれば満足である。
ベーグルは本来は発酵させないらしいが、私は発酵させた。発酵させるともっちりに、発酵させないと中身が詰まった感じになる。
作り方は適当だ。好みで発酵させたら、捏ねて伸ばして、ねじって輪にすればいい。
材料も強力粉と砂糖、塩、ドライイーストだけだ。茹でるときに蜂蜜を溶かすと良い色がつくらしいが、持っていなかったので砂糖にした。
捏ねるのは嫌いだが、具を用意するのは楽しい。発酵させている間に作ろう。青い背景は食事が不味そうに見えるらしい。
オムレツにはチーズとタラゴン、アジョワンを入れてみた。アジョワンはアリかナシか微妙な線だ。
コールスローはキャベツと玉ねぎにピンクペッパー。
とまあ、こんな程度の料理の腕前というか真剣度合いである。私はこの凸凹したベーグルにまずまず満足している。もちろん来客には出さない。その場合もっと真剣に作る。
料理好きな親や配偶者がいて、毎日手作り料理を食べられるのと、自分が料理が好きで、毎日自分が作った料理が美味しいと思えるのと、どちらが幸せだろうか。
(あるいはドライブ好きでいつも運転してもらえるのと、自分が運転が大好きなのと)
私は代わりに作ってもらいたいとか思うことは全くない。実家では料理が出てきて楽だったとも思わない。美味しいお店に行きたいと思うことはあるが、それも作るのが面倒だからではない。
褒めてもらいたいからでもない。
自分で作ったものが良い出来であると自分で思えたらそれが一番だと思う。
これが最高のベーグルではないことは勿論わかっているというか、自明の理であるし、もう一回作っただけでだいぶ上達するだろう。前回作ったのはおそらく15年前だ。
それでも私は楽しい。自分で作った料理がそれなりに美味しければ十分に感動する。美術館の素敵な絵ほどに。あれあやこれや訳の分からぬ組み合わせを試して、新しい味を見つけるのもーそれは私にとって新しいだけであり世界の誰かが既に何回、何万回もすでに試したことでもー楽しい。
特に味覚が鋭いわけでも、包丁捌きが素早いわけでもない。
私はやらないが、クックパッドとかにレシピを掲載している人もきっとそうだと思う。世界初のオリジナルレシピばかりが載っているわけではないし、我が家の味が、他人の味と同じこともきっとたくさんある。
当たり前のことを書いているだろうか。そのとおりだ。